【今日の臨床】肩関節外転にて疼痛が生じる症例ー肩甲下筋へのアプローチー
どうも!
北海道支部セミナー情報
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本日も症例報告をしていきたいと思います。
それでは早速症例報告です。
症例報告
症例は右肩関節外転にて疼痛が生じる60代女性です。
本症例は肩関節外転100°程度で肩関節に疼痛の訴えが聞かれていました。
100°程度での疼痛なのでいわゆる『有痛弧サイン』ですね。
原因は
・肩腱板損傷
・肩峰下滑液包炎
・肩関節周囲炎
などがあります。
この場合、どの様にアプローチしますか?
トリガーポイントだと棘上筋や棘下筋、三角筋などが選択肢になりますが………
今回は肩甲下筋に対してアプローチを行いました。
肩甲下筋と聞くと腱板の一つで唯一の内旋筋といったイメージではないでしょうか?
でも、それだけではありません!
肩甲下筋をもっと理解すると肩関節へのアプローチの幅が広がりますよ。
肩甲下筋は内旋筋ですが、1stポジションと2ndポジションでの外旋で伸張される線維が違います。
1stポジションでは肩甲下筋上部線維が、2ndポジションでは肩甲下筋下部線維がそれぞれ伸長されやすくなります。
そのため、肩関節外転では筋束が多く2ndポジションでの外旋を制限する肩甲下筋下部線維が重要になりますね。
また、肩甲下筋の第5頭と第6頭は肩関節下方関節包へ付着します。
肩関節外転外旋位では前下方の要素が緊張するため、肩甲下筋が緊張し下方関節包にも緊張が伝わる事で肩関節外転運動をより制限する事が考えられます。
さらに肩の関節包はWeitbrecht孔を通して肩甲下滑液包と繋がっています。
これらは関節内圧の調整をするために非常に重要な関係となっています。
そのため、肩甲下筋の緊張が高まる事で関節包の緊張も高まり、肩甲下滑液包との交通が制限され肩関節の内圧が高まり(=陽圧)疼痛が生じやすくなっている、と考えられるわけですね。
以上の事から肩甲下筋は腱板という機能以外にも関節包や肩甲下滑液包との関係性も非常に重要になってきます。
と、いう事で肩甲下筋をリリース。
肩甲下筋のリリース後は痛みの訴えなく外転が可能となりました。
肩関節は非常に複雑ですが、細かい部分を理解する事で効果はグッ!と高まります。
皆さんの参考になればと思います。
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最後までお読み頂きありがとうございます。